SVX日記
2005-03-19(Sat) デジカメ必勝法−ブツ撮り編
野外で撮影する場合、基本的にフラッシュを焚かないと書いたが、室内で撮影する場合、絶対にフラッシュは焚かない。フラッシュを上手に当てるカメラもあるだろうが、基本的に室内は野外の昼間に比べて非常に暗いので、フラッシュを焚くとフラッシュ光だけで撮影する傾向になりがちであり、妙な絵になる可能性が非常に高い。そもそも室内でブツ撮りする場合は、野外の場合に比べて光のコントロールが利くので、いろいろ試しながら撮ればいいのである。
光のコントロールというと、なんか機材でも必要なのかといえばノーである。単にフツーの蛍光灯の天井照明でよい。光量を調整できる照明の場合はいっぱいまで明るくしておこう。少しでもシャッタースピードを稼ぐことができ、ブレを減らすことになる。基本的に室内での撮影はブレとの戦いになる。そんな時に役立つ機能がデジカメの「高感度設定」機能である。オイラの使っているRICOHの「Caplio G4 wide」というデジカメはISO125、200、400、800が選択できる。実際、フツーのフィルムカメラでもISO400のフィルムは室内用とも定義されており、室内でISO400は妥当な選択だ。ISO400は、ISO100の場合に比べ4倍高速なシャッタースピードで撮影できる。昨日、シャッタースピードが1/30を下回るとブレが出やすくなると書いたが、室内でISO400なら概ね1/30程度になるコトが多い。
それなら、ISO800のがよいのではないか? という疑問もあろうが、基本的に感度を上げるとノイズが増える。これはデジカメでもフィルムカメラでもそうである。一概には言えないがISO400までは常用域、それ以上は特殊な場合以外は使わないほうがよい。以下の写真を見れば一目瞭然である。
コレはいわゆる連邦の白い悪魔の頭部の写真であるが、左からISO125、200、400、800である。帽子のツバの白い部分が、ISO800だけ激しくニゴってしまっている。また、眼の下の赤い部分に至っては、既にISO200からニゴりが進行しているのがわかる。これにより、暗い部分ほど激しくノイズが乗る傾向があり、使い物になるのはISO400までというコトがわかるだろう。
コレはいわゆる木馬に搭載されている化け物の頭部の写真であるが、左から、晴れ、曇り、白熱灯、蛍光灯、晴れを補正したものである。これを撮ったのは蛍光灯下であるから、当然ながら光源を蛍光灯に設定したものが一番マトモな発色になっている。PhotoShopのレベル補正機能によっても、こういった光源の違いによる発色の自動補正を行うことができるが、所詮は写真の中に白が存在すると仮定しているに過ぎないから、適正に補正できないこともある(一番右)。室内撮影は大抵は蛍光灯下であるから、最初から蛍光灯モードに設定しておくのが無難である。
上の2枚は同じ構図で撮影した缶詰であるが、撮影の向きでこれだけ違いが出てしまうのである。フラッシュを焚かない場合、当然ながら順光状態で撮影しないと真っ黒になってしまうのだ。これだけ真っ黒だと、レタッチで後からどうにかできるレベルではない。
これが照明と、撮影物と、カメラの位置関係を図に示したものである。考えてみれば当たり前であるが、照明を背にして撮影物を撮るのである。この図では、照明と撮影物の直線上から少しズレた位置にカメラを置いているが、これにより対象物の左側に少し影が落ちる効果が生まれ、立体感を強調することができるのである。
ちなみにカメラの高さは概ね30〜50cmくらい。しゃがんで撮る感じである。多くの場合、自分の頭の影が対象物に落ちてしまうが、その場合は少し体を引き、必要に応じてズームで補えばいい。ただしズームをすると、視界が狭くなり、レンズの明るさも落ちるため、一層ブレやすくなるコトに注意が必要である。
また、カメラにマニュアルフォーカスモードが付いていたら必要に応じて活用しよう。素人はオートの方が確実と思いがちだが、対象物をナナメに撮影している時点で、ピントが合う場所には範囲があるのである。上記の缶詰を例にとれば、やはりプルタブでなくラベルにピントを合わせるべきなのだ。そうでなくてもオートフォーカスが機能しにくい状況もあるので、その場合もマニュアルで合わせたほうが間違いがない。
さらに、ICを画面いっぱいに撮るような場合は、三脚の使用が不可欠である。カメラを三脚に固定し、ズームし、マニュアルフォーカスし、シャッターを押す時の手ブレを排除するためにセルフタイマーを利用する。玄人向けのカメラには、10秒と2秒のセルフタイマーがあるが、2秒のセルフタイマーはこのためにあるのである。オイラのデジカメ「Caplio G4 wide」にも2秒のセルフタイマー機能がある。このことからもわかるように、実はこのカメラは非常に玄人向けなのである。