SVX日記
2015-09-13(Sun) 夏にMAJO
こういう展覧会には、それほど興味がない方なのだが、以前、熱心に「魔法少女研究」をしていたことと、ダーク系な歴史に惹かれるホラー好きであることから、今回ばっかりは出撃するのである。ホントは井沢元彦氏の講演も聴講したかったくらいなのだが、申し込みそこね、結局ズルズルと開催後半になって向かうという体たらくではあるのだが。
1300円という意外なほど高価なチケットを購入して中へ。そして、これまでなら徹底的にスルーしているはずの520円の音声解説の機器まで借りてしまう。楽しい白猫コースと、ちょっと怖い黒猫コースの2種類があるということなので、黒猫を選択。白猫はハートの弱い人用? ホントは両方とも借りたかったくらいなのだが。
しかし、開催期間も後半だというのに、恐ろしいほどの混雑! みんな魔女好きなの? もしかして対象が魔女だけに魔法で集められちゃってんじゃないの? 各展示物を眺めるのに並んで待つほどの大混雑だ。まぁ、じっくり観られるという利点もあったが。
魔女は周囲からの告発により魔女裁判にかけられ、処刑されるパターンが多かったのだが、告発の原動力は、戦争や不作、病気など生活の中のストレスを魔女のせいにしたがった民衆の気持ちにあったらしい。それを加速したのが、よくないニュースを迅速かつ広範囲に伝える印刷物、新聞ということらしいのだ。
さらに、魔女の概念、見分け方、罰し方の解説本が出版されたことが拍車をかけた。なるほどね。印刷、出版され活字になった文書の信憑性は増す、という効果が、現代以上に大きかったことは想像に難くない。これまで、魔女狩りの悲劇は、愚かな権力者による先導により引き起こされたと思っていたので、この事実は目からウロコだった。
インターネット通信技術の発展による情報の流通の拡大と、生活の中のストレスを吐き出したい民衆が、インターネット経由で広範囲に告発しまくることで特定の個人をリンチにかける。自白を強要され、自白がなければ拷問。自白があれば処刑、自白がなくても処刑。これを魔女狩りといわずしてなんといおうか。
個人的には、これまでのところ上記の対象となった各人に同情の余地があるとも思わないけれども、結果として超法規的に罰せられ、個人が民衆に蹂躙されている構図であることには違いはないと感じる。著作に関する権利って、基本的には親告罪であり、第三者による告発は無効なはずなのだけれど。
つまり、自分を正義と思い込んで大騒ぎする愚民は、中世から変わらず、現代にも存在するということだ……ったく、スルー力が足りんぞ。うっかり魔女狩りの対象になることのないよう、また、気がつけば魔女狩りに加わっていたりすることのないよう、気をつけないとな。
などと思いながら、すべての展示を見終わった。最後に日本における魔女、マンガやアニメに出てくる魔女、なんて展示もあったのが、堅苦しさを解消していて小粋だと思えた。残念ながら、私の研究対象である魔法少女は扱われていなかったが。