SVX日記

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2024-07-25(Thu) 干渉できない「メグとばけもの」を鑑賞する

  相変わらず「ヤル気が低調」なので、少しゲームをやったりする。だいぶ前から気になっていた「メグとばけもの」がセールだったこともあって買ってみた。主人公である「ばけもの」が小さい女の子である「メグ」を連れ歩くRPGで、メグが怖がって泣くとゲームオーバ、というのが特徴だ。ずっと前に遊んだ「ICO」を思い出す。あれは傑作だったなぁ。

  始めるといきなり、成長したメグであろうキャラクタが過去を振り返るデモシーンから始まる。これだけで、演出に力入れてますよ、泣かせますよ感を予感させる。

  全編、粗いドット絵の表現なのも特徴だが、ほとんど一枚絵であろう。レトロ的な表現ではあるが、パターンチップを敷き詰めて構成された昔ながらの画面というわけではないので、その実はリッチな表現だ。

  序盤から、相棒が現れたり、メグと出会ったり、メグを襲うキャラと戦闘したり、イベントが矢継ぎ早で飽きさせない……ようにできているのだが、これ、さすがに一本道が過ぎないか? とにかく、やらされている感がスゴい。

  画像の説明

  戦闘はエンカウントではなく、すべてイベント。常にHP満タンから始まるし、アイテムは固定だし、逃げられもしないから、コマンドに選択の余地がほとんどない。なので、せっかくの「メグが泣いたら」という条件も、ほとんど起きないし、そこに何の戦略性も生じていない。それどころか街の移動の選択肢もほぼない。場面転換の都度、自分は勝手に移動してしまうし、自分以外を操作する場面も多い。RPG風味ではあるが、こういうのはゲームではなく、紙芝居というのではないか。

  画像の説明

  自分は、いつかゲームを作ってみたいと思っていて、もしRPGを作るなら、ストーリ進行の間を持たせるためだけにあるような、うっとおしいエンカウントなんてシステムは全廃してやるがなぁ、などとも思っていたが、実際にやってしまうとこうなるのか……もちろん、それも程度によるのだろうけれど。

  過去、RPGで遊んでいる時に展開に行き詰まって、ムダに街の移動をして、その間にムダな戦闘を強いられて……めんどくせぇ……なんて思っていたが、もしかしたら、それこそが「自分で冒険を進めている」感だったのかもしれない。少なくとも自分が「メグとばけもの」に微塵もそれを感じなかったのは確かだ。

  また、相棒とメグと一緒に移動することが多いのだが、移動中は主人公キャラしか表示されない。イベントの都度、背後からヌルッと出てくる。ファミコン時代には、自分以外のメンバが後を付いてくる、という表現が多かったが、これも「自分で冒険を進めている」感のために有効な演出だったように思えてくる。特に今作は「小さい女の子を連れ歩く」のがキモなのだから、それがあった方が効果的だったのではないか。

  ネタバレになるが、途中で「二周目」に入るような演出がある。自分は「二周目」がちょっと冗長なように感じ、制作者が「ふたつのエンディングを思いついたが、どちらかに絞れなかった」ようにも思えたが、ここの演出も、プレイヤに選択させ、片方を選ぶとバッドエンディングとしてゲームオーバ、もう片方を選べば続いて真のルート、というやり方もあったはずで、そっちのほうが「自分で冒険を進めている」感を与えられたように思う。

  ゲームは、クリア後にネットでネタバレレビューを探し「ひとり感想戦」をするのも楽しみのひとつだが、この「メグとばけもの」に関しては否定的レビューがほとんど見当たらなかった。まぁ、優秀なストーリであることについて疑うところはないのだけれど、だからこそ傍観者の立場ではなく、自分が「ロイ」としてこの冒険を味わってみたかった気がするんだよなぁ。