SVX日記

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2024-10-30(Wed) テクニカルサポート業務を支援するXalebot

  しばらく前から「客からの問い合わせに対する回答文の自動作成に取り組んでいる」と書いたが、結構、時間が経っているなぁ。ようやく動き始めたので、ちょっとまとめておこうかと。

  名前は「Xalebot」。「ザレボット」と読む。「戯言」を言う「ロボット」という意味だ。自分はゼ民党員(ゼビウス民主党員)なので、ザには当然Xが当てられる。

  Xalebotは、技術問い合わせを受け付けるメーリングリストのメンバでもあり、問い合わせが来たら、それに対する回答案を提案するメールをメーリングリストに送る機能を持つ。技術問い合わせに回答するサポートエンジニアは、その回答案を活用することにより省力化、または、対応力が強化されるわけだ。うまくいけば、の話ではあるが。

  肝心なのはその回答案のデキだが、Xalebot自体にはAIエンジンを積んでいない。外部の生成AIサービスに依存するようになっている。逆にいえば、外部の生成AIサービスの能力向上により、Xalebotの有用性は勝手に向上していく寸法である。

  なお、Xalebotの動作の大半は、既存の(ウェブ)メーラのMave(rick)に依存している。メールの受信や送信、デコード、スレッド管理などは、イチから組むとなると大伽藍の建造である。であるから、実際にXalebotのベースコンテナは、まんまMaveコンテナであり、多くの機能を外から呼び出している。

  で、最後まで渋っていたのだが、終いには仕方なくOpenAIに5ドル支払って、APIのコードを完成させた。で、ChatGPTを使って動作事例を作ってみた。それが以下である。

  画像の説明

  ベタな例ではあるが、日本人なら誰でも知っている猫型ロボットについての問い合わせが来た、という想定である。

お世話になっております。山田太郎と申します。
 
弊社では猫型ロボットを開発中なのですが、
日本で一番有名な猫型ロボットの名前はなんだったでしょうか?
 
ご教授いただけますと幸いです。

  それに対して、Xalebotがすかさず回答案を返信してくる。

AI の Xalebot[gpt-4o-mini-2024-07-18] です。
 
回答案を作成しました。
 
----
お世話になっております。
 
ご質問いただき、ありがとうございます。日本で一番有名な猫型ロボットは
「ドラえもん」ではないかと思われます。ドラえもんは、藤子・F・不二雄に
よって創造されたキャラクターで、未来から来た猫型ロボットとして多くの人々
に親しまれています。
 
他にも、さまざまな猫型ロボットが存在しますが、ドラえもんが最も広く知ら
れていると考えられます。もし他にご質問やご不明点がありましたら、どうぞ
お気軽にお知らせください。
 
よろしくお願いいたします。
----
 
以上です。

  完全に正解である。が、ちょっと冗長なので、サポートエンジニアである田中さんは客に以下の回答を返す。

お世話になっております。サポートの田中次郎と申します。
 
> 日本で一番有名な猫型ロボットの名前はなんだったでしょうか?
 
ご指摘の猫型ロボットは「ドラえもん」ではないかと思われます。
 
よろしくお願いします。

  すると問い合わせ者の山田さんから再問い合わせである。

お世話になっております。山田太郎と申します。
 
> ご指摘の猫型ロボットは「ドラえもん」ではないかと思われます。
 
あー、確かに。そのような名前だったと思います。ご回答ありがとうございます。
 
弊社の製品ではその名前は避けたいと思うのですが、色かぶりも避けるべきかと考えております。
 
そのロボットのボディカラーは何色でしょうか?
 
ご教授いただけますと幸いです。

  これに対しても、Xalebotがすかさず回答案を返信してくる。

AI の Xalebot[gpt-4o-mini-2024-07-18] です。
 
回答案を作成しました。
 
----
以下がその質問に対する回答案です。
 
---
 
お世話になっております。
 
ご質問ありがとうございます。
 
猫型ロボットのボディカラーについてですが、具体的な色は開発段階により異
なりますが、一般的には青色が代表的です。ただし、弊社では他の色も検討し
ており、最終的な色の決定は今後のデザイン案によります。もし特にご希望の
色がございましたら、お知らせいただければ幸いです。
 
何卒よろしくお願いいたします。
 
-- 
田中 次郎
----
 
以上です。

  ご丁寧にシグネチャまで付けてくれているw。青色で正解だ。ちょっと後半は何を伝えたいのかわからんが。田中さんは客に以下の回答を返す。

お世話になっております。サポートの田中次郎と申します。
 
> そのロボットのボディカラーは何色でしょうか?
 
青色となります。
 
よろしくお願いします。

  これを受け、問い合わせ者の山田さんはクローズっぽい応答である。

お世話になっております。山田太郎と申します。
 
> 青色となります。
 
なるほど。では、赤色か黄色であれば、そのロボットと色かぶりしませんね。
 
ご対応ありがとうございました。

  おぉーっと! ここでXalebotの隠し機能が発動。ギャル語調の回答案を返信してきたぁ!

AI の Xalebot[gpt-4o-mini-2024-07-18] です。
 
回答案を作成しました。
 
----
オッケー!以下の感じでギャル語っぽく答えちゃうね☆
 
---
 
あ〜、マジウケる!質問ありがとね〜!
 
1. そのロボットのボディカラーは何色でしょうか?
→ それ、青色だよ〜!バッチリ決まってんじゃん♪
 
2. 日本で一番有名な猫型ロボットの名前はなんだったでしょうか?
→ そんなん、ドラえもんしかないっしょ!みんな知ってるし〜!
 
って感じで、どうかな?もっと聞きたいことあったら教えてね〜!?
----
 
以上です。

  ここは「赤はともかく、黄色はいけませんゼ」と答えなければならないところだが「色かぶりしませんね」を問い合わせと認識できず、引用された部分を問い合わせと認識し、それに再び回答してしまっている。「gpt-4o-mini」でなく「gpt-4o」なら結果は違ったかもしれない。

  まぁ、ちょっと最後が残念っぽい感じにはなったが、機能としては意図したことが実現できていると言えよう。さらに、Xalebotには再学習用に事例を出力する機能も備えている。つまり、問い合わせとサポートエンジニアの回答(正解)を要約したものだ。

最初に、以下のような問い合わせがありました。
「『日本で一番有名な猫型ロボットの名前はなんだったでしょうか?』」
それに対して、以下の回答を行いました。
「ご指摘の猫型ロボットは『ドラえもん』ではないかと思われます。」
それを受けて、以下のような問い合わせがありました。
「以下が質問内容のみを抜き出したものです。
 
そのロボットのボディカラーは何色でしょうか?」
それに対して、以下の回答を行いました。
「青色となります。」

  RAGが使えるAIならば、これを食わせることで回答の精度を向上していける可能性があるというわけだ。

  画像の説明 画像の説明

  とりあえず、動き始めたばかりではあるが、OSSとして公開しておく。「https://itline.jp/git/xalebot」と「https://itline.jp/git/mave」。どっちもgitリポジトリである。

  余談だが、奇しくも本日、ちょっとした内容ではあるが、それに対するAIの回答を見て、自分的にはシンギュラリティに遭遇してしまったような衝撃を受けた。いやもう、多項式からその回答が導き出される理由がわからない。思考しているとしか思えない回答だったのだ……が、むしろアレか……逆なのか……思考なんて多項式で算出できる程度のもの、と考えるべきなのか……。