SVX日記
2023-09-11(Mon) クレギオン、ロケットガール、ダブルリーチ
6月の中頃、ポイントが余っていることもあり、何か面白い小説でもないかと探していると目に止まったのが、野尻抱介氏の「クレギオン」シリーズ。軽い気持ちで電子書籍版を買ってみたところ、これが近年マレに見る面白さ。スペースオペラで、ダーティペアに近い雰囲気だが、それに比べハードSF成分が高いのに、展開はソフトという感じ。
元は富士見ファンタジア文庫での出版だったが、今はハヤカワ文庫で再販されているという状況が驚くほど自然に思える内容だ。ライトノベルとハードSFの見事な融合。なんというかライトでハードってアルミノベル!?
野尻氏の作品は、過去に「南極点のピアピア動画」「沈黙のフライバイ」「太陽の簒奪者」「ふわふわの泉」のいずれも読んでいて好印象だったが、それにも増して面白い。「クレギオン」は平成4年出版開始だが、まったく古さを感じさせない。
1冊目の「ヴェイスの盲点」を読了したところで、躊躇なく2冊目の「フェイダーリンクの鯨」へ進む。が、ひとつ問題が。挿絵がまったくないので、いまひとつ宇宙空間の状況が入ってこない。主役メカであるアルフェッカ号の形もピンと来ていない。
どうも、ハヤカワ文庫に移籍した時に挿絵が捨てられてしまったようだ。いや、それはあったほうがいいのだがな。まだ先に5冊もあるのに、このまま挿絵のない電子書籍版を買い進めるのは、特にこの作品においてはもったいなさすぎるように思える。
しかし、一方で紙の本は食事中に読み進められないという問題がある。非常に不真面目な読書態度で申し訳ないのだが、最近の自分は「細切れの数分の時間を使って、数ページずつ読み進める」というスタイルなのだ。自分の場合、それでも十分に内容は頭に入るし、存分に楽しめるのだ。というわけで、それが解決になるのかはわからないものの、とりあえず「書見台」というものを買ってみることにした。
で、3冊目の「アンクスの海賊」から紙の本で読み始めた……のだが、期待に反し、挿絵は人物画ばかりでSF的な情景を描いたものは皆無だった。ま、そうなるか。とはいえ、マージもメイも、オマケにロイドも、顔はあったほうがいい。結局、7冊目の「ベクフッドの虜」まで紙の本で調達してしまい、その勢いで、間違いなく「ロケットガール」シリーズも面白いハズだから読むべきと思い、これも紙の本を調達。当然、ハヤカワ版ではなく、富士見の再販版である。ついでに、さかのぼってクレギオンの1,2冊目も調達。
こんな気持ちになるのは珍しいが、7冊目の「ベクフッドの虜」はもったいなくて読まずに残し「ロケットガール」に進む。これまた、無闇に面白い。笹本祐一氏の「星のパイロット」シリーズと内容も面白さもだいぶ被るが、リアルな宇宙開発を舞台にしてるだけなのに、なんでこんなに面白いのか。