さて、この鉄塔、一見するとフツーの鉄塔ですが……あれ？　送電線が3方向に伸びています。どうしたことでしょうか？

　実はこの鉄塔、手前から受け取った2回線6本の送電線を、左右に1回線3本づつ分配しているのです。ちょっと珍しい鉄塔ではありませんか。碍子がピースマークを作っているようにも見えますね。

　しかし特筆すべきはその絵的な収まり具合です。鉄塔のこじんまりとした形状といい、碍子と送電線の配置といい、周囲の田園の広がりや空の青さといい……私が今まで撮ってきた鉄塔写真のなかで最高のデキではないかと思っています。

　私に油絵などの心得があって、鉄塔を描くならば、迷わずこの鉄塔を選ぶことでしょう(あんまり気に入ったので、勝手ですが送電鉄塔ウェブリングのアイコンに採用させて頂きました)。

　お約束ですが、下からノゾいてみました。おやおや、正面からは左右に直角に送電線を分配しているように見えましたが、意外と角度がついていますね。

　私事ですが、今回の2枚の写真は両方とも新兵器の24mmレンズで撮影しましたが、この24mmという超広角の焦点距離、私的には中型から小型鉄塔に最適な焦点距離だと思いました。比較的鉄塔の近くから鉄塔全体をフィルムに収められますし、適度に強調された遠近感により鉄塔の大きさや風景の広がりも表現できます。私にとっては、まさに「鉄塔レンズ」です。今後もこのレンズには大いに活躍してもらうことになるでしょう。